【競技かるた|小学生|22日目】基本ルールの確認・ よくある質問・指導者が見るポイント《決まり字の飽きない教え方》

こんにちは。Karuta Clubのゆか先生です。
今回は、決まり字を50枚以上覚えた競技かるた初心者・指導者向けの記事。

競技かるた」における「取り」「お手つき」の定義の確認をします。
また、初心者の試合でよく聞かれる質問に答えます。
最後に、初心者指導で見てあげたいポイントをご紹介します。

この記事の概要

決まり字を50枚以上覚えた競技かるた初心者さん指導する方向けに

  • 「取り」「お手つき」の定義を確認します
  • 試合中の「こんな時どうする?」に答えます
  • 初心者指導で見るべきポイントを教えます
注意事項

●ここでお伝えする内容は、あくまでも、長年かるたを教えている「かるた教室の一講師」としての経験・考えにすぎません。もちろん、指導者によって考え方や指導方針が異なりますし、教え方に正解はございません。また、教える個々人に合わせて、指導は変えていくものです。万人に通用しない部分もあるかもしれませんが、ご了承くださいませ。

●競技規定は変更されることがあります。可能な限り情報は更新するようにいたしますが、最新情報は全日本かるた協会公式 Webサイトにてご確認ください。

はじめに

今回は、「競技かるた」のルールに則って試合を進められる方向けの記事です。

競技かるた」は、百人一首100枚の札のうち50枚の札を使うというルールがあります。
ですので、この記事は「決まり字を50枚以上覚えた状態である」ということを前提としています。

まだ決まり字を50枚覚えていない方は、試合をする前に、こちらの過去記事でご紹介した遊び方にトライしてください♪
決まり字を覚えた札が少ない状態でも楽しめる遊び方をご紹介しています。

「競技かるたの試合ってどうやるの?」という方は、こちらの過去記事で「競技かるた」の3つの基本ルールを知ることができます。
わからない方はぜひ読んでください。

「動画で教えてほしい!」という方は、下の動画の後半部分をご覧ください
※最初の方はかるたの札の用意の仕方についてご紹介しています。

競技かるたの基本(取り・お手つき)

競技かるた」の試合を始める前に、「取り」と「お手つき」の定義をきっちり押さえておきましょう。

1. 「取り」

「自分の取り」とする方法は2つあります。

  1. 出札(読まれた札)に相手より先に触る
  2. 出札を押して、相手より先に競技線の外に出す(札押し

① 出札(読まれた札)に相手より先に触る

赤い札が出札(読まれた札)です。
対戦相手より先に、直接札に触ったら「自分の取り」となります。

② 出札を押して、相手より先に競技線の外に出す(札押し)

上の動画をご覧ください。 
出札(赤い札)には触れていませんが、出札を他の札で押して競技線の外に出しています

これを「札押しといいます。
相手より先に「札押し」した場合も、自分の取りとなります。

※動画では畳の縁を競技線としています。

2. 「お手つき」

お手つきには2種類あります。

  1. 出札がない陣地の札を触る
  2. 空札(自陣・相手陣にもない札)が読まれたのにも関わらず札に触る

① 出札がない陣地の札を触る

上の動画のように、出札がない陣地の札を触るとお手つきとなります。
その場合、ペナルティーとして、相手陣地から1枚札を送られます。

② 空札が読まれたのにも関わらず札に触る

100枚ある札のうち50枚を使うので、残り50枚は空札(その場にない札)が読まれます。
上の動画のように、空札に触った場合はお手つきです。
ペナルティーとして、相手陣地から1枚札を送られます。

3. 「共お手」

自分もお手つきをしたのと同時に、対戦相手もお手つきをした場合を「共お手」と言います。
共お手」となる状況を2つ紹介します。

  1. 出札がない陣地の札を、自分も相手も触る
  2. 札に触る意思はなかったが、相手に押された影響で出札がない陣地の札に触る

① 出札がない陣地の札を、自分も相手も触る

上の動画のように、出札がない陣地の札を、自分も相手も触った場合は「共お手」となります。
お互い様なので、ペナルティは相殺されます。
つまり、札を送ったり送られたりはしません。

② 札に触る意思はなかったが、相手に押された影響で出札がない陣地の札に触る

上の動画のように、札に触るつもりはなかったのにも関わらず、相手に押されたりぶつかったりしたために、出札がない陣地の札を触った場合は、「共お手」となります。

札に触っていなくても、押したりぶつかったりして、相手に札を触らせてしまった方もお手つきです。
上の動画でいうと、左側の選手もお手つき扱いとなります。

この場合も、お互い様ということで、ペナルティは発生しません。

試合中によくある質問

試合中によくある質問をまとめました。
特に初心者さんは、「お手つきなのか」「取りになるのか」判断に迷われることが多いと思います。
困ったら自己判断をせずに、指導者に聞いたり、本記事を見たりするなど、必ず確認してくださいね。

A. 札の送りは発生しません。

右の選手は敵陣の出札を取ったので、本来なら自陣から1枚札を送れるのですが、お手つきをしています。
送れるはずの1枚は、ペナルティで相殺されるため、札を送ることができません。

通称「取り損」と言います。
「札を取ったのに損」というわけです。

ゆか先生
ゆか先生

札を触る順序が逆の場合(敵陣の出札を取った後に、自陣の札を触る)でも同様の判断です

A.相手に自陣の札を2枚送ります。

右の選手は、敵陣の出札を取った分の1枚・左の選手がお手つきをした分の1枚、合計2枚を送ることができます。
この場合を、通称「ダブ」と言います。
2枚送ることができる」=「ダブル」から来ています。
上の動画だと、「左の選手がダブった!」と言いますね。

ゆか先生
ゆか先生

札を何枚送ればよいかわからなくなった時は、「取り」と「お手つき」を分けて考えて整理すると、わかりやすくなりますよ♪

A.お手つきにはなりません。しかし、出札がない方の陣地の札に手で触れていた場合は、お手つき扱い。相手から1枚札を送られます。

上の動画のように、出札を触ったまま出札がない陣地を乱した場合はお手つきにはなりません
しかし、出札がない陣地の札に触れていた場合は、お手つきです。
相手から1枚札を送られます。Q1で説明した「取り損」の一種ですね。

まだ器用ではない初心者の方は、両方の陣地にまたがって取る方も多いです。
上段の札を取る時は、特に気をつけましょう。

ゆか先生
ゆか先生

敵陣を取ってずりずり引きずりながら自陣の札をひっかけて手元に戻子もいます。
これも、自陣の札に触れてしまった場合はお手つきになるので要注意です!

A.お手つきにはなりません。

上の動画のように、出札を払った影響で出札でない方の陣地を乱した場合は、お手つきになりません。
Q3のケースとの見分けが難しいのですが、相手陣の札に触れていなければ「払った影響」と判断しましょう。

A.相手から2枚札が送られます。

空札で読まれた札が場にないのにも関わらず、自陣も敵陣も両方触った場合はお手つき2回分とカウントします。
通称、「空ダブ」と言います。

相手からペナルティとして、自陣でのお手つき分1枚・敵陣でのお手つき分1枚、合計2枚が送られます

A.取りになりません。

上の動画のように、札押しをしたのにも関わらず、競技線内に出札の一部が残ってしまった場合は、完全に競技線から出ていないため取りにはなりません

相手より先に出札に触るか、相手より先に出札を完全に押し出した方の取りとなります。

A.お手つきではありません。

右利きの場合は、「右手の手首より上」で、取りなのかお手つきなのかを判断します。
左利きの場合は、左手の手首より上」で、取りなのかお手つきなのかを判断します。

A.だめ。同時に触った時は、出札がある陣地の人の取りです。

自分と相手が同時に札に触った場合を、通称「セイム」と言います。
セイム」かどうか判断に迷う場合は、まずは選手同士で話し合います。
どうしても決められない時は、審判に判断をゆだねましょう。

A.出札を持っていた人の管理ミス。相手の取りと判断し、相手から1枚札を送られます。

札の紛失は、その札があった陣地の選手側の管理ミスと判断されます。
出札が読まれたときにその札の紛失に気づいた場合は、相手の取りとなり、相手から1枚札を送られます。
札の紛失には気をつけましょう。

A.だめです。

いま読まれた札より前のことは、関係なくなってしまうルールです。
ですから、次の読みが始まった後に「さっき送り忘れたので送る」ということはできません。

指導者が初心者を見るポイント

初心者さんが試合をするときに、指導者として気をつけ見てあげたいポイントをご紹介します。

指導者が見るポイント
  1. 構えができているか
  2. ルールがわかっているか
  3. 定位置がが決まっているか
  4. どの札でお手つきしたか

1. 構えができているか

構えのチェックリストは以下の通りです。

構えチェックリスト
  • 敵陣の下段に届く位置で構えているか
    ※小さい子は、競技線ぎりぎり手前で構えないと届きません。
  • 利き手が畳から浮いていないか
  • 下段より指が出ていないか
    ※特に、枚数が少なくなって下段に札がなくなったときは注意。
  • 利き手と反対の手で取っていないか
    ※すぐ反対の手が出てしまう子には、反対側の手に体重をかけ、利き手は軽く畳につけるように伝える。

2. ルールがわかっているか

ルールの理解にも個人差があります。
送るのを忘れていたり、間違えて送られたのを受け取ったりした様子を見たら、最初は助言してあげましょう。
何度か試合する中で覚えていけばよいです。

はじめての間違いでいきなりペナルティを与えるのではなく、「次からはペナルティだよ」など、猶予を与えることも必要かもしれません。

選手自身が自ら考えるようにも指導しないといけないので、選手と指導者が一緒に考えることも大切ですね。

もめた時は相手の意見を聞いたうえで、「私が下に入っているので私の方が早かったと思います」など主張と理由をしっかり言えるように少しずつ伝えていきましょう。

3. 定位置が決まっているか

以下の項目に該当する場合は、定位置が決まっていません。
定位置を決めると良いことを伝えてあげましょう。

定位置が決まっていない場合にみられる行動
  • 最初に札並べる時に、端から順に並べている
  • 札が散らかった時に、元の場所に素早く戻せない
  • 毎回、札の場所が変わる

試合中に札を移動するときは、「変えます」と相手に伝えて、相手から「はい」と返事をもらうように指導しましょう。
勝手に札を移動した場合、その札が読まれた時に、対戦相手とトラブルになることも。
トラブルを防ぐためにも、気をつけましょうね。

定位置の決め方は過去記事で説明しています。
参考にしてみてください。

ゆか先生
ゆか先生

定位置を覚えるまでは、定位置を紙に書いたり写真に撮ったりして、それを見ながら札を並べてもよいですね

4. どの札でお手つきをしたか

お手つきした時は、本人になぜお手つきになったのかを聞きましょう。

指導者から見て、お手つきの理由が明らかな場合は、本人に聞かずに覚えておきます。
理由がわからないお手つきは、決まり字の覚え方に特徴がある場合が多いので、残りの50枚を覚えるための参考になるよう、本人に聞いておくとよいですね。

ゆか先生
ゆか先生

試合が終わったら、取った札を相手と交換して札流し(札落とし)を行うことをおすすめします。

取れなかった札は、決まり字を言うのが遅いはずだからです。

おわりに

今回は、競技かるたに挑戦するうえでのルールの確認と、試合でよくある質問、そして指導者が見るべきポイントについてご紹介しました。

参考にしていただけたら嬉しいです。一緒に頑張りましょう♪

次回(23日目)新しく2枚の札の決まり字の覚え方と、楽しく決まり字を覚えるための札流し対決についてご紹介します。お楽しみに!