はじめまして。Karuta Clubのゆか先生です。
愛知県のカルチャーセンターの講師として、小さい子どもからご年配の方まで、初心者さんを中心に教えてきて、かれこれ20年になります。
この《決まり字の飽きない教え方》シリーズでは、小学生をはじめとする子供たちが飽きないように工夫しながら、約40日かけて100枚すべての札の決まり字の教え方を紹介していきます。
ぜひ、本シリーズの記事に沿って、子供たちに決まり字を教えてみてください。きっと、100枚覚えた頃にはかなり札が取れるようになっています。
1日目の今回のテーマは、「先入観をなくす」です。
競技かるたを始めようと思った方によくある先入観を取り除いて、決まり字を覚えるハードルを下げ、4枚の札の決まり字の覚え方を紹介します。
文字が読めない小さな子どもでも覚えられる「決まり字の教え方5STEP!」について伝授しますので、最後までチェックしてみてくださいね。
「競技かるたを教えている!」という以下のような方が、
- おすすめかるた会・かるた教室などで小学生に教えている方
- おすすめ小学生や小さい子どもをお持ちで、できる範囲で教えたい保護者さま
- 部活動やサークルで教える立場にある先輩・顧問の先生
この記事を読むと、
- 初心者さんによくある先入観と、それをとりのぞく方法がわかります
- 文字が読めない小さい子どもへの決まり字の教え方がわかります
- 4枚の札の決まり字の覚え方がわかります
競技かるたを始めようと思った方によくある先入観
やったあ!部活に新しく後輩が入ってきたぞ!
でも、どうやって教えてあげたらいいいのかな…
わたしも、かるたに興味を持ったうちの子に教えてあげたいのだけれど…
みなさん、競技かるたを教える立場になる/なりたいみたいですね!
自分もかつては初心者で、まっさらな状態から競技かるたを教えてもらったはずなのに、いざ教える立場になると、「はて、どうやって教えてもらったっけ…」。意外とあいまいですよね(笑)
また、ママさんのように、「自分にはあまり競技かるたのノウハウがないけれど、子どもにできる範囲で教えてあげたい」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
まったく競技かるたを知らない初心者さんに対して、競技かるたを教えるには、まずは初心者さんによくある先入観を知っておく必要があります。
① 100首を覚えないとできない?
否!「決まり字」があるから覚えなくていいんだぞ!
そうですよね。「決まり字」を覚えれば試合はできますね。
ですが、初心者さんは「決まり字」の存在を知らない人が多いんです。
そういえば、競技かるたをやってるって友達に言ったら、「100首ぜんぶ覚えてるの?」って聞かれたことがあるわ
みなさんもA子さんのように、競技かるたをやってると伝えたら、「100首ぜんぶわかるの?!すごいね!」と言われた経験があるのではないでしょうか。
(実際には覚えていない選手が多いのでは…?)
このように、みなさんが思ってる以上に、「決まり字を覚えればいいから、100首覚える必要はない」ということを知っている初心者さんはとっても少ないのです。
そして残念なことに、競技かるたに興味があるにもかかわらず、「100首は覚えるのは無理だから…」という理由であきらめてしまったり、逃げ腰になってしまう初心者さんも多くいます。
ですので、最初に初心者さんへ、「100首まるまる覚える必要はないこと」を伝えてあげましょう。
そして、「決まり字」の存在を教えてあげましょう。
わたしは以下のように教えています。
参考にしてくださいね。
競技かるたは、
あきのたの かりほのいおのとまをあらみ
という上の句を聞いて、下の句である
わがころもでは つゆにぬれつつ
が書かれた「 取り札 」を速く取ればよいです。
↑この札の決まり字は 「あきの」です。
この札を「あきの」と覚えてしまえばOKです。
「そもそも、この札を『あきの』と覚えることが難しい!」と言われた場合は、簡単に覚える方法があります。別途、お話ししますね。
② 字が読めないとできない?
これは、小さい子どもをお持ちの保護者の方によくある先入観です。
やっぱり、教えるのは無理なのかしら…
いいえ。
字が読めなくてもできます!
まだ字が読めない小さい子どもや、日本語に長けていない外国の方でも、札の特徴を見つけて、札を一枚の絵として捉えれば、札を取ることができるようになります。
でも、どうやって絵として捉えてもらえば…
そうですよね。では次に、わたしが実践している教え方をご紹介します。
5STEP!「決まり字」の教え方
わたしは、以下の5STEPで「決まり字」を教えています。
STEP1.「たま」と「む」教える
最初は、視覚的に特徴的な「たま」と「む」の札を教えています。
こちらの札を見てください。
この札は「たま」です。
赤い丸で囲った「のの」が丸い「たま(球)」に見えます。
…「たま」、覚えましたね!
👉動画で覚えたい方はYouTubeへ
続いて、こちらの札を見てください。
この札は「む」です。
同じ「のの」がありますね。
この「のの」が端っこにあるのが「む」です。
👉動画で覚えたい方はYouTubeへ
「たま」と「む」を覚えたら、2枚を使って札を取ってみましょう!
「たま」はどっち?
パチパチ!素晴らしい!
じゃあ「む」はどっち?
場所を入れ替えたり、
「たまのをよ〜♪」
「むらさめの〜♪」
と本格的に読んだりして、ちゃんと取れるかどうかチェックします。
STEP2.読みで「ヨーイドン」をする
間違えずに取れるようになったら、実際の読みに合わせて札を取るタイミングを覚えます。
競技かるたでは、かけっこの「ヨーイドン」の代わりに前に読まれた札の下句を使います。
こちらの動画を参考にしてみてください。
「いまをはるべと〜さくやこのはな〜〜〜♪ たまのをよ〜♪」
ポイントは、「さくやこのはな〜〜〜♪」3泊のばした後の音を聞いて取る、ということです。
慣れてきたら、下句は長いので、
「な〜〜〜♪ むらさめの〜♪」
と、ちょっと下句を短くしたうえで繰り返すと、すぐに取れるようになりますよ。
練習するときは、読み上げアプリを活用するのもオススメです。
札を読み上げる人(読手)がいない場合や、いちいち読み上げるのが大変な方にはもちろん、そうでない方にもオススメです。
トップレベルの選手も練習で利用しており、初心者のうちから実際の試合の読みに慣れることができます。
様々なアプリがありますが、読んでほしい札だけ選べるものを選ぶとよいでしょう。
迷ったら、Karuta Clubの公式アプリ「Karuta Chant」をお試しください。もちろん無料で利用できます。
読んでほしい札を、音別に選択できるので、使いやすいですよ。
▼無料インストールは、下の記事から
STEP3.逆さまの状態の札を取る
敵の陣地に札がある時は、札が逆さまに見えることを伝えます。
そして、逆さまの状態で札を取ってみます。
「さくやこのはな〜〜〜♪たまのをよ〜♪」
「さくやこのはな〜〜〜♪むらさめの〜♪」
STEP4.札を払い飛ばして取る
競技かるたの醍醐味は、やっぱり、札を払い飛ばして取れた時の嬉しさですよね♪
逆さまの状態でも札が取れるようになったら、札を飛ばした時の爽快感を味わってもらいましょう。
動画を参考にして、払い飛ばしてみてください。
ここまで来たら、少し楽しくなってくるはずです。
「さくやこのはな〜〜〜♪」の3泊のばした後の音を聞いて取る、ということは大事ですよ!
STEP5.覚える札を増やす
そろそろ、取れる札を増やしたくなってくる頃かと思います。
この時に、指導者が任意の札を選んで教えてしまいがちですが、子ども(初心者さん)に札を見てもらって、
「この札、他の札と違う特徴がある!」
と本人が感じたものを選んでもらい、その札を教えるのがいちばん良いです。
ここでは、おすすめの2枚(「たご」と「せ」)をご紹介します。
こちらの札を見てください。
この札は「たご」です。
「ふ」「ふ」と、タコが2匹いるから「たご」。
横に2匹ですからね。
👉動画で覚えたい方はYouTubeへ
次はこちら。
この札は「せ」です。
上の行の真ん中に「せみ」みたいなものがいます。
「ゑ」、昔の「え」という文字ですね。
だから「せみ」の「せ」です。
👉動画で覚えたい方はYouTubeへ
「たま」と「む」の時と同じように、2枚を使って札を取ってみます。
「たご」はどっち?
正解!じゃあ「せ」はどっち?
敵陣にある時の、逆さま取りもしてみましょう。
「さくやこのはな〜〜〜♪たごのうらに〜♪」
「さくやこのはな〜〜〜♪せをはやみ〜♪」
2回目なので、上手にできますね♪
また札を飛ばしてみましょう。
以降も同じ流れです。
STEP5まで来たら、ここまでで覚えた4枚(今回で言うと、「たま」「む」「たご」「せ」)で、自陣方向・敵陣方向の練習をします。
2枚VS2枚で遊ぶこともできますよ♪
競技かるたの遊び方について、もう少しくわしく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、かるたを教える立場の方が知っておくべき、初心者さんによくある先入観と、その解消法、そして、字が読めない子どもへの「決まり字の覚え方」をご紹介しました。
今のご時世、初心者さんに教える機会が少ないかもしれませんが、新しくかるたをはじめたい方がいらした時や、新歓の時期、そして子どもにかるたを教える時の参考に、少しでもなれば嬉しいです。
今回の記事では、4枚しか決まり字を覚えていませんが、無理せず決まり字は少しずつ覚えたほうがよいでしょう。無理して覚えても、定着しなければ意味がないためです。
次回(2日目)は、覚えた決まり字を定着させる練習方法をご紹介します。お楽しみに。