『決まり字百人一首大会』の誤解と本当の狙い|競技かるた初心者向けイベント

どうも、Karuta Clubの川瀬です。

今回は競技かるた初心者向けイベント『決まり字百人一首大会』について、どんなイベントなのか改めて言葉にしようと思います。

というのも『決まり字百人一首大会』って「はじめて競技かるたをやる人や超初心者が参加するものでしょ?」と誤解されていると感じているためです。

参加者ならまだしも、大会の運営を手伝ってくれているスタッフの方にも誤解されているような気がしてなりません。

まったく間違いなわけではいないのですが、実は、すでに競技歴がある程度あるF級・E級の方にも積極的に参加していただきたいんですね。

わけあって、ぼくたちKaruta Clubは『決まり字百人一首大会』を告知する際に、競技かるたがはじめての方にむけたメッセージを強めに出しています。

そのため、誤解されてしまっても仕方がない部分はあるのですが、はじめて〜E級の方、全員に楽しんでもらいたいです。

もっと言うと、本来の『決まり字百人一首大会』の目的に立ち返ると、有段者の方に参加していただいてもまったく構わないんです。

ただ、いろいろ事情があって、現状の『決まり字百人一首大会』は有段者の方の参加に制限をかけさせていただいています。

ここでは、この誤解を解く意味も込めて、改めて『決まり字百人一首大会』を開催する意義や狙いについて、ていねいにまとめてみたいと思います。

決まり字百人一首大会 特設ページ|Karuta Club かるたクラブ

『決まり字百人一首』とは?

もしかすると知らない方もいらっしゃるかもしれませんので、念のため改めて『決まり字百人一首』について簡単に説明しておきます。
※知っている方はスキップしてください。

競技かるたは、百人一首の上の句を聞いて下の句が書かれた取り札を取り合うゲームです。

そのため、通常は百人一首の「上の句と下の句のペア」を覚えていないと遊ぶことができません。

そこで、百人一首を覚えなくても遊べる取り札として、『決まり字百人一首』は2023年に販売開始しました。

決まり字百人一首

元々、『決まり字かるた』という決まり字が書かれた取り札自体は存在しました。

しかし、競技用の公式札でないためうまく払って取ることができませんでしたし、真ん中に大きく赤字で書かれていて少し見づらいものでした。

そのため、初心者がちょっと触れるには便利だけど、継続的に競技として使うのは難しい状況でした。

このあたりを改良して、イベントや大会でも活用できるようにしたのが『決まり字百人一首』です。

『決まり字百人一首大会』の本当の狙い

結論から言うと、「競技かるたを始める時に、決まり字を覚えなくてもよい文化に変えること」が『決まり字百人一首大会』の一番の狙いです。

「競技かるたの普及のため」という答えでも間違いではないのですが、それだと抽象的すぎますし、一つのイベントごときで競技かるたが普及できるなら苦労しません。
※もちろん、1つ1つの活動の積み重ねの先にしか普及はないのですが

「決まり字が書いてある取り札を使うから、はじめての人でも簡単に競技かるたを楽しめるよね。」じゃダメなんです。

競技かるたって、左下に赤色で決まり字が書いてある取り札を使うのが当たり前だよね」ってところまで持っていきたい。

極端なことを言えば、A級の大会でも決まり字百人一首を使う世界になった方が良いとさえ思っています。

つまり、『決まり字百人一首大会』は競技かるたの世界の「決まり字を覚える」という当たり前を破壊するために行っています

ここまで言うと反発する方も多くいらっしゃるかもしれません。

ただ、競技かるたの魅力・面白さに取り札に決まり字が書いてあるかどうかなんて、まったく関係なくて、もっと全然違うところに詰まっていると思うのです。

有段者の方はみんなそう思うのではないでしょうか?

競技かるたにおける決まり字は、将棋のおけるコマの動かし方みたいなもので、ほぼルールみたいなゲームの土台だと思っています。

ぼくはボードゲームが大好きなのですが、ルールが複雑でなかなか覚えられないゲームはやっぱり遊ばれません。

だから、できるだけ簡単に、誰にでもルールが分かる&思いだせるような工夫がボードの隅々にまで施されています。

冷静に、競技かるたの「決まり字」が取り札に書いてないって、ボードゲームの世界ならルールブックが箱に入っていないレベルの不親切さです。

だから、決まり字を覚えるのなんて全員でやめて、もっと早く誰でも競技かるたの魅力に触れられるようにした方がいいんじゃないかと思っています。

9ヶ月『決まり字百人一首』を使ってみて

文化を変えるのはそんなに簡単なことではありません。
そもそも、文化というのは、変えようとして変わるものでもありません。

多くの人が支持する、自然と行動するから文化として根付いていくわけです。

ただ、ぼくは『決まり字百人一首』は遅かれ早かれ確実に文化として根付いていくと確信しています。

『決まり字百人一首』は2023年6月の発売開始から9ヶ月ほどが経ちましたが、ずーっと一定のペースで売れ続けていて、累計で300組以上が購入されています。

これは、『決まり字百人一首大会』の運営で使う札を除いている数字です。

やっぱり必要としている方や、良いと思ってくださっている方がいるから、こうした状況が生まれているのだと思います。

みなさまが活用する度に、少しずつ「決まり字を覚えなくても競技かるたはできる」と思ってくださる方は確実に増えていくでしょう。

また、8月以降、この『決まり字百人一首』を使った、競技かるたがはじめての方向けの体験イベントをたくさん実施してきました。

『決まり字百人一首』を使えば、1〜2時間もあれば充分に札を取る楽しさを体験していただけます。

これまで「決まり字を覚えましょう」とか言っていたので、当日には伝えられなかった競技かるたの魅力がすぐ伝えられるのです。

さらに、『決まり字百人一首』で一通り楽しんでから、決まり字を覚えようとする方も出てきました。

すると、意外かもしれませんが、いきなり決まり字を覚えようとするよりも簡単に覚えられるのです。

これは、”あきの”、”わがい”など、最初は呪文としか思えないような言葉を覚えなければならないところ、何回か遊んでいるうちに、「そういえば”あきの”って札あったよね」となっていくためだと思います。

やっぱり、最初は『決まり字百人一首』を使った方がいいとしか思えないのです。

この結論は、みなさんが『決まり字百人一首』を使って体験した後に自然と出ると思いますが、徐々に『決まり字百人一首』を使う割合が増えてくると確信しています。

足元で目指すべきゴール

足元で目指すべきゴールはF級までの大会(初心者大会)は『決まり字百人一首』を使う文化に変えるところだと思っています。

冒頭の方でA級でも『決まり字百人一首』を使った方がいいと書きましたが、そこはなかなかハードルが高い認識です。

やはり前例主義的な思想は一定数あるでしょうから、「初段を取る際に決まり字を覚えていなくて良いのか?」という議論は巻き起こると思います。

そして、ここを変えるには全日本かるた協会がルール改定に踏み切る必要があります。

そのため、よほど「決まり字を覚えないでずっと無段」という人たちがたくさん出てきて本格的に文化が根付かない限り変わっていかないでしょう。

また、競技かるたをはじめるハードルを下げる目的は、初心者大会で使う札が『決まり字百人一首』に変われば充分です。

なので、地域レベルの大会主催者の判断で使う札を変えられる部分から、少しずつでも「なんで『決まり字百人一首』を使わないの?」と言われるように、文化を広げていこうと思います。

今は、『決まり字百人一首大会』は8枚vs8枚の簡単ルールでしか実施していませんが、いずれは25枚vs25枚の正式な競技かるたのルールの部門も作っていく想定です。

楽しみながら文化を作っていく

というわけで、多くの競技かるたプレイヤー、特に無段の方には『決まり時百人一首』を使ってもらう必要があります。

そのため、冒頭の話に戻りますが、競技かるたがはじめてかどうかは関係なく、できるだけ多くの方に『決まり字百人一首大会』は楽しんで欲しいのです。

なので決まり字を覚えている人も覚えていない人も、ぜひ、『決まり字百人一首大会』にご参加ください。

全員が3ゲームできますので、単純に楽しむために参加するのもよいですし、優勝(全勝)目指して腕試しに参加される方も大歓迎です。

年に4回の開催を予定していますので、1つの目標にしていただけるととても嬉しいです。

できるだけ同じような方が一緒のリーグになるように、運営側で調整させていただきますので、ふるってご参加ください!

みなさまのご参加をお待ちしております。
一緒に、新しい文化を創っていきましょう!

第三回決まり字百人一首大会の申し込み締め切りは3月4日(月)までですのでお早めに!

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※現状は、会場のキャパや、レベル差がありすぎると全員が楽しめないため、無段の方限定の参加とさせていただいております。

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