こんにちは!かるたんの作者のもりたけです!
かるたの世界でも一、二を争うほど盛り上がるかるたの甲子園!年々おもしろくなっていますよね!この記事では、高校かるた選手権団体戦に出場したチームの戦力データからわかる、近年の傾向を紹介します!
競技かるたや、団体戦、データを眺めるのが好きな皆さんにうってつけの内容です!団体戦の選手・監督、そして団体戦を観戦する方に興味をもってもらえる内容だと思いますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
競技かるたや団体戦をする方や観る方、データを眺めるのが好きな方へ
- 2015年~2018年の高校かるた出場校の戦力データを分析して近年の傾向を紹介します
- 回を重ねるごとになぜどんどんおもしろくなっているのかを説明します
- 団体戦を戦う方はもちろん、観る専の方にも興味をもっていただける内容です
はじめに
本稿はhttps://carta100high.wiki.fc2.comのデータを用いて作成しました。この場をお借りしてサイトの運営者様に感謝を申し上げます。また、運営者様をご存知の方がおられましたらご連絡いただけますと幸いです。
2015~2018年度の「小倉百人一首競技かるた全国高等学校選手権大会」(以下、高校かるた選手権)団体戦のデータに基づいています。(2019年度以降のデータを提供いただける方がいましたら、ご連絡いただけますと幸いです)2023年4月から適用された「級と段位の対応関係の変更」以前のデータのため、各級・段位の表示は2023年3月以前のものとしてご理解ください。
今現在の級・段位とは違うから注意してね!
高校かるた選手権とは?
高校かるた選手権(小倉百人一首競技かるた全国高等学校選手権大会)とは、毎年夏に一回行われている高校かるたの頂点を決める大会です。
団体戦の部では各都道府県で行われた予選を勝ち抜いた代表校が、近江神宮で熱いたたかいをくり広げます。
競技かるたは「畳の上の格闘技」と呼ばれますが、高校かるたは「かるたの甲子園」と呼ばれていて、競技かるたの世界でも非常に盛り上がる一大イベントです。
夏はかるた団体戦のシーズンですが、中でも盛り上がる大会です!
団体戦では各高校8人の選手が登録され、その中から5人の選手が試合をし、3勝したチームの勝利となります。
この記事では各高校の選手の級(段位)のデータをもとに、出場校の戦力が年々どのように変化しているのかを見ていきます。
まずはデータを見てみよう!
さっそく高校かるた選手権のデータを見てみましょう。
2015年のデータ
図1は、2015年度に出場した各チームの「総得点」を、値の大きい順に並べたものです。
※ここで総得点は、以下の表の点数を各チームの全選手で合算しています。(五段以上を便宜上S級とします)
級 | A (S) | A | B | C | D |
段位 | 五段以上 | 四段 | 二、三段 | 初段 | 無段 |
点数 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
図1左側の表は、各チームの選手の級を主将から八将まで横に並べ、級ごとに色分けしています。総得点上位のチームでは、多数のA級選手がいますが、下位ではメンバーが8人そろっていないチームも目立ちます。
図1右側のグラフで、緑色以外の色のバーになっているチームは、各色が最終成績に対応しています。やはり総得点の高いチームが最終成績も良い傾向にあり、特に1〜3位は総得点5位以上のチームになっています。
やはり個人の実力が団体の勝敗にも直結していますね
でも団体戦は3人勝てばいいんだから、チーム全員が強くなくても勝てるかもしれないよね?
図1は、各チームの全員の点数を足したものでした。しかし、団体戦で一度に出場するのは5人ですよね?しかも、団体戦では3勝すれば勝ちとなりますから、極端な話3人強ければいいわけです。そこで、各チームの主~五将の合計(Top5)、主~三将の合計(Top3)も見てみましょう。
図2では、Top5とTop3の並び順はAll(総得点)で並べていますので、ところどころ大小関係が入れ替わっています。
Top3を見ると、All(総得点)21位でベスト8、22位で4位になったチームについて理解が深まります。実はTop3を見ると、Allで5位~30位ほどのチームはそれほど差がありません。主~三将が、同級以上の対決を制したことで、上位の成績を収めたのではないかと考えられます。
やっぱり、強い選手が3人いることは大事なんだね!
Allを見ると1~7位までの傾きが急になっており、他のチームとの実力差が大きく開いている様子が分かります。また、25位~29位の間や43位~53位でも傾きが急で、全体として実力差があることが伺えますこのような状況は、僅差の試合が減るため、戦力通り順当な結果になりやすいと考えられます。
2018年のデータ
ここまで2015年のデータを見てきましたが、少し飛んで2018年のデータを見てみましょう。図3は2018年のデータです。
まず目につくのが1〜3位がAll(総得点)上位に集中していない点です。2015〜2017年は、1〜3位がAll10位以内に集中しているのですが、2018年はAll13位が2位、18位が3位、30位が4位になっています。さらにAllについて2015年と2018年を比べると、2018年のほうが「なめらか」に分布し、1位と最下位との得点差も減っています。この傾向は、以前よりもチーム間の差が小さくなってきていることを意味しています。
おもしろいのがTop3のデータの比較です。2015年では総得点順にならべるとかなりガタガタしたグラフになっています。これは、主~三将の実力と四将以下の実力差が大きく開いているチームが多いことを意味しています。
一方、2018年のTop3の分布は比較的なめらかです。これは、「チーム間」だけでなく、「チーム内」の実力差も小さくなってきたことを示唆しています。つまり、全体的にレベルが上がっているということです。
各高校の実力差だけでなく、同じチーム内でも実力差がなくなると、どんどんレベルが上がっていきそうです!
実力差はより小さく、レベルはより高く
ここまで、感覚的な話をしてきましたが、少し数字で比較してみましょう。
図4は各年の出場チームの総得点の平均値と、分布のバラツキ具合(標準偏差を規格化したもの)です。平均値を見ると、上昇していることがわかります。またバラツキ具合は値が小さいほど、上位と下位の得点差が少ないことを意味しますが、これは減少しています。
つまり年を経るごとに、全体のレベルが上がり、実力がより拮抗していっているということです。このデータは2018年までですが、おそらく2019年以降も(コロナ禍の影響はあるかもしれませんが)同じ傾向なのではないでしょうか。
毎年、高校選手権から目がはなせないね!
出場選手の級を見てみると・・・
少し視点を変えて、各年に出場している選手の各級の割合を図5で見てみましょう。グラフ内の白い数字は各級の人数です。
年を経るごとにA級選手の割合が増え、全体としてレベルが上がっていることがわかります。
一方で、級の分布そのものに大きな変化はないようです。各年最も多いのがB級選手で、C,D級選手を合わせると全体の半分を超えます。
さいごに
ここまで、高校かるた団体戦のデータから、年々レベルが上がりより拮抗した大会になっていることを見てきました。
段位の合計が多いチームがやはり安定して良い成績を上げていることは確かですが、以前よりも圧倒的な差はなく僅差で団体の勝敗が分かれるスリリングな試合が増えている、と言う点は感覚的にも納得できます。
2020年からのコロナ禍により大会数が大幅に減少した影響で、実力があっても昇級していない選手がまだまだ多くいるため、近年の大会は単純な段位でチームの実力を推しはかることが難しくなっていますが、見る側としては、どの試合も結果が予想できず目が離せないということかもしれません。
私は高校時代、チームとして近江で取ることは叶いませんでしたが、この季節になると今でも当時の様々な感情を思い出します。近江の舞台、横並びで団体が取れる幸せをかみしめて、めいっぱい楽しんでください!
選手だけでなく運営される方も、体調に気をつけて楽しんでくださいね!